「音楽」カテゴリーアーカイブ

PMFバーンスタインレガシーコンサート20160728

ひさしぶりに若い音楽家たちのオーケストラを聴きに行きました。客層は若い男性が目立っていました。相対的に年配の観客が少なかったということでしょうか。音楽を勉強している風の若い男女や、どこかからわざわざ札幌までPMFを聴きに来たような人たちが目立ちました。私はいつも観客の客層が気になるのですが、その演奏会の特徴を表していて面白いです。

プログラムは、前半はバーンスタインが愛した曲、後半は作曲した曲でした。指揮者のダニエル・マツカワさんによると、バーンスタインの曲は若い音楽家達にとって大変難しいとのこと。確かに拍子はころころ変わったり、音程も不協和音があったりジャズの要素満載と油断できない感じです。でも緊張感あふれる若々しい演奏は素晴らしく、楽しかった。ソリストもなかなかの役者ぞろい。

札幌在住のヴァイオリニストでなぜか私の後輩?(音大に在籍していた事実はありません)の演奏する姿も見られて感激です。医学で病をいやし、音楽で心をいやす人になることでしょう。応援しています。

アンコールはぜひ聴きたかった、キャンディード序曲。なにしろ、高校に入学して吹奏楽部に入り、校歌の次に渡された楽譜がこれでしたから。15歳の私には衝撃的な曲でした。それ以来バーンスタインを尊敬しています。最後の曲のプレゼントをしっかりと受け取りました。

ピアノの森20151226

連載期間18年だそうですが、まんが ピアノの森 が完結し単行本が発売されました。レンタルコミックで読んでいましたが、待ち切れず、完結編は買ってしまいましたよ。主人公のピアノの素晴らしさも面白いのですが、コンクールの出場者、審査員のいろいろなドラマが面白く、感動します。

実際に聞いてみたいですね、圧倒的なショパンの演奏を。そしてピアノを習いたくなります。

ハイメス特別企画メモリアルコンサート20151201

札幌の音楽界の発展に尽くした竹津宜男さんをしのんで、ゆかりのある曲をプログラムにしたコンサートです。小編成で心にしみる曲が並びます。

コンサートに行くとまず気になるのが客層ですが、今回やけに60代以上の女性が多い。そんなプログラムなのか疑問でしたが、4曲目で納得。ステージにはかなり年配の女性が目立つ合唱団が登壇しました。この方たちのお仲間お友達が多数来場しているのだと。正直ちょっと引いてしまいました。足もとのかなり危なっかしい方もいますし、大丈夫かと。ハイメスって若い音楽家メインじゃなかったっけ?しかも指揮者は70歳にもなろうかという感じの針のように痩せた女性。

曲が始まりましたが、女声合唱は聴き慣れないのでピンときません。でも指揮はきびきびした感じで合唱団を操っている。だんだん曲に引き込まれていきました。ソプラノのソリストが曲を引き締め、バリトンのソロの後の合唱パートで(不覚にも?)涙があふれてきました。曲はフォーレのレクイエム。歌詞の意味はわからないけれど亡くなった方のために祈る曲。そういう気持ちになる曲でした。でもやっぱり指揮者の痩せ具合が気になって仕方ない。

そのほかの曲では、モーツァルトのピアノ協奏曲18番のピアノ四重奏版がなかなか。ピアノとヴァイオリン、チェロ、フルートという編成。フルートは高音なので小編成だとソロやメロディが多いですが、この曲はソロほとんどなし、メロディはピアノとユニゾン、たまに対旋律、あとは2ndフルート的な使われ方。ヴァイオリンはソロがたくさんあるのと対照的でした。こういう使われ方もあるのだと勉強になりました。

弦楽四重奏と木管五重奏20150719

PMF(パシフィックミュージックフェスティバル)の季節です。ウィーン演奏会とベルリン演奏会に行ってきました。どちらもPMFの教授陣によるアンサンブル演奏会で、なんだか似たようなコンサートに思えますが、かなり違いを感じるものでした。

ウイーン演奏会は、主にウイーンフィルの弦楽器奏者による室内楽の演奏会で、メインは弦楽四重奏曲。ベルリン演奏会は、主にベルリンフィルの管楽器奏者による室内楽の演奏会で、メインは木管五重奏曲でした。一言でいうと、前者はまじめ、後者は楽しい、です。

弦楽四重奏は究極の演奏形態という人もいるほどで、4台の楽器できっちり構成されている曲が多く、作曲家も演奏家も鑑賞者もまじめに取り組まなくてはいけない雰囲気があります。観客はまじめなクラシック鑑賞者といった中年男性が多く、これまたまじめそうなパートナーを伴っている人も目立ちました。演奏者は見た目、気難しい感じで、ニコリともせず演奏していました。弦楽四重奏団はいろいろありますが、常日頃から一緒にアンサンブルを重ねて少しでも理想に近づけようと努力しているイメージです。同じオーケストラ所属といっても、普段四重奏を組んでいるわけでもない4人が即席で組んでも、納得できる演奏は難しいのでしょうか。もちろん一流の音楽家ですからそれなりに曲を仕上げますが、どうも満足されていないように感じました。

木管五重奏は初めから楽しみのために書かれたような曲が多く、鑑賞者はもちろん、演奏家も楽しそうです。観客は女性グループが目立ち、若い人も多く、PMFのアカデミー生も盛り上がっていました。演奏家はユーモアがあり、演奏前に観客に呼びかけてみたり、アンコール曲を紹介するとき冗談を言ったりします。演奏中はもちろん真剣ですが、曲が終わるとにこやかで満足げな表情に変わります。木管五重奏は楽団を組んで継続的にやっている音楽家もいますが、イベント的に集まった奏者で演奏することも多いと思います。同じオーケストラ所属メンバーなら息もぴったりでしょう。普段一緒に演奏する機会のない奏者たちが集まったときも、出会えて一緒に演奏できる喜びをかみしめながらやっているのを感じます。私もいつか楽しみのために木管五重奏団を作るのが夢ですよ。

今回の弦楽奏者で、チェリストが体調不良のため出られなくなり、その息子が代役でやってきました、メンバーの中で一人だけ若く、ベテラン奏者とやれる喜びがつたわってきたのが特筆すべきことでした。

モーツァルト協奏曲連続演奏会20150715

アンサンブルグループ奏楽そらの演奏会に行きました。小編成の指揮者なしオーケストラとソリストによるコンサートです。モーツァルト協奏曲シリーズは7回目で、メンバーの皆さんも慣れたものですね。札幌でこのような音楽が楽しめるのは素晴らしいことだと思います。演奏者がいて、ファンがいてコンサートが開かれて会場をいっぱいにして、いい音楽を楽しむ。約500席がいっぱいでした。

若手の演奏家は、オーケストラをバックに協奏曲のソリストなんてそんなに経験できるものではないと思います。オーボエのソリストは、はじめ緊張しているのか音に伸びがないように感じました。第一楽章のカデンツァあたりで音がのびやかになってそのあとは素晴らしい演奏を聞かせてくれました。ピアノに比べると管楽器は精神状態がすぐ音に表れる気がします。演奏家は本当に度胸があるというか、覚悟がないとできない仕事だと思います。自分の精神状態をお客様にさらすのですからね。どんな仕事にしても、自分の精神状態で、仕事の出来が変わるようでは半人前ということかしら。

 

J.S.バッハその②20150614

バッハについての本を2冊読みました。岩波新書の『J.S.バッハ』と芸術現代社の『J.S.バッハの音楽宇宙』です。バッハはドイツの田舎の音楽を職業とする一族の生まれで、一生をドイツの地方のいわば音楽職人として過ごしたそうです。教会の音楽家だったときは、ミサのための音楽を毎週作曲し、宮廷音楽家だったときは、イベントや楽しみのために作曲し、また、弟子や音楽を勉強している人のために楽譜をたくさん作り、といった具合です。

たくさんの曲を作ったのですが、機械的とか単調というのでもなく、人間性の表れる聞く人の心を動かす作品が作られました。その結果、時代を超え、ジャンルを超えてバッハの曲が演奏され聞かれています。宗教曲を作ったのですが、自分の宗派と違う宗派に勤務していたこともあり、純粋な信仰心から生まれた曲というより、職務に忠実にまじめに、人間として普遍性のある音楽が作られたようです。

また、それまでに積み上げられてきた音楽の技術を集大成しようと考えていたようで、それこそが、音楽の父と呼ばれる所以でしょうか。音楽一族に生まれたものの発想にも思えます。バッハはバロック後期の作曲家とされています。現代から見ると、バロックは単調、つまらないなどという印象を持ちますが、当時はつまらないルネサンス時代から変化を求めた時代だったそうで、いろいろな人が新しいことをやった上でのバッハということです。

その後多くの音楽家に影響を与え続けています。芸術とは、場所、時代に関係なく人間に影響を与えるもののことを言うのだと思います。

J.S.バッハ20150525

中学生のころピアノを習っていました。初級の終わりころに取り組む、いわゆる『バッハインベンション』、これが何度弾いてもよくわからない。3曲目くらいで先生があきらめて、1番だけやってください、と先へ進むことを許されませんでした。そんなことで、ピアノと音楽の道をそこで挫折し、高校では吹奏楽のフルートだけを継続しそれも卒業と同時にやめてしまいました。

高校のころからクラシック音楽を聴くようになりましたが、バッハは意識して避けていたように思います。ずっと苦手意識を持っていました。

それから20年以上の時がたち、フルートを再開することになりました。フルートの曲を色々聴くうち、やっぱ、バッハだな、と。バッハの曲を吹けるようになりたい、という目標を掲げて練習に励みました。2年くらいでまず、管弦楽組曲第2番に取り組みました。舞踊音楽で、有名な曲なのでまずは入門編としてさらっとやってみます。そしてさらに月日は流れ、ついにフルートソナタに取り組むこととなりました。練習だけでなく勉強もしなくては。

まずは平均律と純正律について。『平均律クラヴィーア曲集』って誰が訳したのか知りませんが、原題は平均律ではないとか。バッハの時代は平均律はまだ広まっていなくて、純正律から移行途中の音律が使われていたとか。音律の歴史や物理的なことを勉強してみました。そして、バッハの音楽の背景。当時は音楽といえばほぼ宗教がらみだったようで、宗教観がどう曲に出ているのか、今勉強中です。バロックの形式や決まり事もわからないことだらけだし。課題は次々出てきます。大バッハ先生にリベンジなるか?乞うご期待。