弦楽四重奏と木管五重奏20150719

PMF(パシフィックミュージックフェスティバル)の季節です。ウィーン演奏会とベルリン演奏会に行ってきました。どちらもPMFの教授陣によるアンサンブル演奏会で、なんだか似たようなコンサートに思えますが、かなり違いを感じるものでした。

ウイーン演奏会は、主にウイーンフィルの弦楽器奏者による室内楽の演奏会で、メインは弦楽四重奏曲。ベルリン演奏会は、主にベルリンフィルの管楽器奏者による室内楽の演奏会で、メインは木管五重奏曲でした。一言でいうと、前者はまじめ、後者は楽しい、です。

弦楽四重奏は究極の演奏形態という人もいるほどで、4台の楽器できっちり構成されている曲が多く、作曲家も演奏家も鑑賞者もまじめに取り組まなくてはいけない雰囲気があります。観客はまじめなクラシック鑑賞者といった中年男性が多く、これまたまじめそうなパートナーを伴っている人も目立ちました。演奏者は見た目、気難しい感じで、ニコリともせず演奏していました。弦楽四重奏団はいろいろありますが、常日頃から一緒にアンサンブルを重ねて少しでも理想に近づけようと努力しているイメージです。同じオーケストラ所属といっても、普段四重奏を組んでいるわけでもない4人が即席で組んでも、納得できる演奏は難しいのでしょうか。もちろん一流の音楽家ですからそれなりに曲を仕上げますが、どうも満足されていないように感じました。

木管五重奏は初めから楽しみのために書かれたような曲が多く、鑑賞者はもちろん、演奏家も楽しそうです。観客は女性グループが目立ち、若い人も多く、PMFのアカデミー生も盛り上がっていました。演奏家はユーモアがあり、演奏前に観客に呼びかけてみたり、アンコール曲を紹介するとき冗談を言ったりします。演奏中はもちろん真剣ですが、曲が終わるとにこやかで満足げな表情に変わります。木管五重奏は楽団を組んで継続的にやっている音楽家もいますが、イベント的に集まった奏者で演奏することも多いと思います。同じオーケストラ所属メンバーなら息もぴったりでしょう。普段一緒に演奏する機会のない奏者たちが集まったときも、出会えて一緒に演奏できる喜びをかみしめながらやっているのを感じます。私もいつか楽しみのために木管五重奏団を作るのが夢ですよ。

今回の弦楽奏者で、チェリストが体調不良のため出られなくなり、その息子が代役でやってきました、メンバーの中で一人だけ若く、ベテラン奏者とやれる喜びがつたわってきたのが特筆すべきことでした。

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