「東洋医学」カテゴリーアーカイブ

漢方的スローライフ10161212

ちくまプリマー新書の幸井俊高さんの本です。中高生向けに書かれていてよみやすいです。漢方医学(日本伝統医学と言い換えられる)では病気の症状を直すのではなく、病気の原因になっている体質を整えることで体調をよくすることを目標としている、西洋医学とのアプローチの違いがあるということをわかりやすく解説しています。
現代の慢性病を起こす体質を大きく5つに分類しています。
A.ため込む体質
B.流れがよくない体質
C.足りない体質
D.  バランスが悪い体質
E.心身が不安定な体質
何かの不調で漢方薬を処方されたとき、その薬を飲んで別の今までずっと気になっていた症状がすっとなくなることがあります。薬が自分の状態にぴったり合った時体調が整えられていきます。漢方薬は体全体を見ているので、体調に合った薬で、体全体が調子よくなっていきます。

漢方の考え方に基づいた、健康な生活を送るためのコツも述べられていて、現代人が陥りやすい体調不良を起こす原因とそれを避ける方法も書かれています。慢性的な心身不調を感じている方には参考になる本だと思います。

北海道薬用植物図集20160420

北海道主要樹木図譜を作った工藤祐舜と須崎忠助コンビによる図鑑です。樹木図譜とは違い、白黒の線画ですが、ち密で美しいものです。薬が手に入りにくかった開拓時代に実用になるよう作られたものとのこと。

カラーの絵や写真はきれいですが、白黒の線画は形をはっきり示すので、たとえば野山で植物を見て鑑別するのにわかりやすいのではないでしょうか。説明文もありますのでかなり見分けられると思います。ただ、文語体で書かれていますので、現代の利用にはやや難あり。頑張って読んでみると、この草はこんな薬効があるんだ!という発見もあり面白いです。五味子や半夏,ゲンノショウコといったおなじみの生薬あり、まんさくがジギタリスの代わりになるとか、エンレイソウが胃腸薬とか初めて知りました。山に行く機会もあるので知っていると役に立つかも。

半夏瀉心湯ハンゲシャシントウ 漢方製剤ノート⑪20160316

効能;みぞおちがつかえ、時に悪心、嘔吐があり食欲不振で腹が鳴って軟便または下痢の傾向のあるものの次の諸症;急、慢性胃腸カタル、醗酵性下痢、消化不良、胃下垂、神経性胃炎、胃弱、二日酔い、げっぷ,胸やけ、口内炎、神経症

処方;半夏5.0g、黄芩、乾姜、甘草、大棗,人参 各2.5g、黄連1.0g

作用機序;胃粘膜防御作用、抗炎症作用、大腸水分吸収亢進作用、消化管運動抑制作用

副作用;間質性肺炎、偽アルドステロン症、ミオパチー、肝機能障害

注意;高齢者には減量など。妊産婦には効果が副作用を上回る場合投与。小児への安全性は確立していない。

証;中間証、虚証

注:本投稿は漢方製剤を勉強するため、最低限抑えるべき項目を列挙しています。実際に投与する場合、服用する場合は、製品の添付文書、注意書きにしたがってください。

柴苓湯サイレイトウ 漢方製剤ノート⑩20151207

小柴胡湯と五苓散の合剤。

効能;吐き気、食欲不振、のどの渇き、排尿が少ないなどの次の諸症:水瀉性下痢、急性胃腸炎、暑気あたり、むくみ

処方;柴胡6.0,半夏5.0,沢瀉5.0、生姜4.0、黄芩3.0、大棗3.0、人参3.0、猪苓3.0、白朮3.0、茯苓3.0、甘草2.0、桂枝2.0、生姜1.0

作用機序;ナトリウムチャンネル阻害作用、抗炎症作用、DNA合成阻害作用

副作用;間質性肺炎、低カリウム血症、劇症肝炎、肝機能障害

注意;著しく体力の衰えている患者には慎重投与。

証;中間証

注:本投稿は漢方製剤を勉強するため、最低限抑えるべき項目を列挙しています。実際に投与する場合、服用する場合は、製品の添付文書、注意書きにしたがってください。

柴朴湯サイボクトウ 漢方製剤ノート⑨20150912

小柴胡湯の証と半夏厚朴湯の証を併せ持つものに用いる。

効能;気分がふさいで咽頭、食道部に異物感があり、動機めまい嘔気などを伴う次の諸症;小児ぜんそく、気管支ぜんそく、気管支炎、咳、不安神経症

処方;柴胡7.0、半夏5.0、茯苓5.0、黄芩3.0、厚朴3.0、大棗3.0、人参3.0、甘草3.0、蘇葉2.0、生姜1.0

作用機序;ロイコトリエン産生抑制作用、ヒスタミン遊離抑制作用、アラキドン酸代謝物抑制作用、サイトカイン産生に対する作用、好酸球に対する作用など

副作用;間質性肺炎、低カリウム血症、肝機能障害など

注意;高齢者、妊産婦への投与は注意して行う。

証;中間証

注:本投稿は漢方製剤を勉強するため、最低限抑えるべき項目を列挙しています。実際に投与する場合、服用する場合は、製品の添付文書、注意書きにしたがってください。

半夏厚朴湯ハンゲコウボクトウ 漢方製剤ノート⑧20150908

効能;気分がふさいで咽頭食道部に異物感があり、動機、めまい、吐き気を伴う次の諸症。不安神経症、神経性胃炎、つわり、咳、しわがれ声、神経性食道狭窄症、不眠症

処方;半夏6.0、茯苓5.0、厚朴3.0 蘇葉2.0  生姜1.0

副作用;過敏症

注意;高齢者、妊婦、小児への投与は注意

証;中間証~虚証

注:本投稿は漢方製剤を勉強するため、最低限抑えるべき項目を列挙しています。実際に投与する場合、服用する場合は、製品の添付文書、注意書きにしたがってください。

小柴胡湯ショウサイコトウ 漢方製剤ノート⑦20150824

こじれた風邪に使われることがあります。

効能;体力中等度で上腹部が張って苦しく、舌苔を生じ、口中不快、食欲不振、時により微熱,悪心などのある者の次の諸症:急性熱性病、肺炎、気管支炎、感冒、リンパ管炎、慢性胃腸障害、産後回復不全。慢性肝炎における肝機能改善。

処方;柴胡7.0、半夏5.0、黄ごん、大棗、人参格3.0、甘草2.0 生姜1.0   柴胡桂枝湯から、桂枝と芍薬を抜いた生薬で構成されています。因みに、小柴胡湯から人参と甘草を抜いて芍薬、枳実、大黄を加えた構成で大柴胡湯となる。

作用機序;肝障害抑制作用、肝再生促進作用、肝線維化抑制作用、免疫調整作用、抗アレルギー作用、活性酸素抑制作用

副作用;間質性肺炎、低カリウム血症、肝機能障害、過敏症

注意;併用禁忌:インターフェロン製剤

証;中間証~実証

注:本投稿は漢方製剤を勉強するため、最低限抑えるべき項目を列挙しています。実際に投与する場合、服用する場合は、製品の添付文書、注意書きにしたがってください。

麦門冬湯バクモンドウトウ 漢方製剤ノート⑥20150821

老人の咳によく使われます。

効能;痰の切れにくい席、気管支炎、気管支ぜんそく

処方;麦門冬10.0、粳米、半夏各5.0、大棗3.0、甘草、人参各2.0

作用機序;鎮咳作用、去痰作用、気管支拡張作用、抗アレルギー作用

副作用;間質性肺炎、低カリウム血症、肝機能障害、過敏症

注意;甘草による偽アルドステロン症、低カリウム血症に注意

証;中間証から虚証

注:本投稿は漢方製剤を勉強するため、最低限抑えるべき項目を列挙しています。実際に投与する場合、服用する場合は、製品の添付文書、注意書きにしたがってください。

小青龍湯ショウセイリュウトウ 漢方製剤ノート⑤20150815

アレルギーの咳やくしゃみによく使われますが、眼科でもアレルギーに使います。

効能;気管支炎、気管支ぜんそく、鼻炎、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、感冒での水様痰、水様鼻汁、鼻閉、くしゃみ、喘鳴、咳嗽、流涙

処方;半夏6.0、麻黄、芍薬、桂皮、五味子、乾姜、細辛、甘草各3.0

作用機序;抗アレルギー作用、抗炎症作用。ヒスタミン遊離抑制、好酸球抑制、アセチルコリン作用抑制、など。

副作用;間質性肺炎、低カリウム血症、肝機能障害、過敏症など。

注意;麻黄を含むため。エフェドリン、カテコラミンなどの含有製剤と併用すると交感神経刺激作用が増強することがある。

証;中間証

注:本投稿は漢方製剤を勉強するため、最低限抑えるべき項目を列挙しています。実際に投与する場合、服用する場合は、製品の添付文書、注意書きにしたがってください

柴胡桂枝湯サイコケイシトウ 漢方製剤ノート④ 20150812

風邪がこじれてきた際によくつかわれます。

効能;発熱、汗が出て悪寒し、体痛み、頭痛吐き気のあるもの。感冒、流感、肺炎などの熱性疾患。胃潰瘍、十二指腸潰瘍、肝機能障害などの心窩部緊張疼痛

処方;柴胡5.0、半夏4.0、桂枝、黄ごん,人参、芍薬、大棗、甘草各2.0、生姜1.0  小柴胡湯に桂枝と芍薬を加えた構成になっている。

作用機序;膵炎抑制作用、免疫調整作用、活性酸素消去作用を持つことが知られている。

副作用;間質性肺炎、低カルシウム血症、肝機能障害、過敏症など

注意;高齢者へは減量など

証;虚証から中間証

注:本投稿は漢方製剤を勉強するため、最低限抑えるべき項目を列挙しています。実際に投与する場合、服用する場合は、製品の添付文書、注意書きにしたがってください。