「眼」カテゴリーアーカイブ

体の使い方 アレクサンダーテクニーク 20170622

太極拳とフルートをやるときに、共通な体の使い方があるのに気づきました。それは、水泳やランニングにも共通しているように感じていました。アレクサンダーテクニークは人間の体の使い方の基本原則を見つけ出したオーストラリアの俳優、アレクサンダーさんが研究の末まとめあげた方法です。

頭、首、背中のバランスがすべての動きをスムーズに効率よく行うためには重要で、常に動きを意識しフィードバックすることでパフォーマンスを上達させられるということです。このことに関して3冊の本を読みました。「アレクサンダー・テクニーク やりたいことを実現できる<自分>になる10のレッスン 」小野ひとみ著  「音楽家ならだれでも知っておきたい「からだ」のこと アレクサンダー・テクニークとボディ・マッピング 」バーバラコナブル著  「ランニングを極める アレクサンダー・テクニークで走りの感性をみがく」    マルコムポーク、アンドリューシールズ著   基本情報と、音楽家のための応用、ランナーのための応用です。

最近けがをして、自分の動きを見直す必要が出たのでこの本は大変参考になりました。ただ、習得するには難しそうなのでできることから普段の生活やトレーニングに取り入れようと思いました。無意識に動いてしまうことが多いのですが、動く前に意識するだけで動きが少しずつ洗練されてくるのです。

毎日の積み重ねは積もり積もって良い結果につながっていくのではないでしょうか。

花粉症の季節20170512

眼のかゆみや充血、まぶたの腫れ、目やにや涙を訴える患者さんが増えています。シラカバ花粉症の季節です。みなさん反応が早いです。花粉症と気づいていない方もけっこういらっしゃいます。なぜか片眼だけ症状がある方もいます。片眼だけだと花粉症とは気づきにくいですね。

シラカバの花粉症の方の中には、果物を食べるとのどがかゆくなる方がいます。リンゴ、桃、サクランボなどに反応しますが、いろんな果物が食べられなくなってしまう人もいます。心当たりのある方は、一度耳鼻科などで検査を受けたらよいと思います。かゆいだけでなく、のどの粘膜が腫れて、呼吸が苦しくなってしまう方もいますので、自分のアレルギーを知ることが大事です。

ピアニストの脳を科学する20170428

ピアニストは芸術家であると同時に、すぐれた身体能力を持つアスリートであり、膨大な音符を記憶し瞬時に情報処理をする知性の持ち主であるとまえがきに書かれていますが、私も常々そう感じており、どうやってそんなことができるようになるのか知りたいと思っていました。

練習によって脳が変化するというのは予想がついたことですが、指を動かす筋肉で省エネが行われるのがプロの演奏家だということで、なるほどと思いました。疲れず素早く動かすには、無駄な動きや力があるとうまくいかないのです。

興味深いのは楽譜の初見演奏のメカニズムです。視覚情報を素早く指の運動に変化させなければなりません。このとき周辺視野を使って1度に1小節程度認識して記憶し、音のイメージを得ているのだそうです。また、音符を動きに変換する脳の部位があるということも驚きでした。

音楽家にとって一番大切な聴覚に対応する脳細胞は、一般人の2倍も多く、つまり音の情報を処理する能力が高いということで、音の違いを聞き分け表現することができることになります。耳からの情報を脳の視覚野の細胞をも使って処理しているという事実には驚きです。そして、音と指の動きが直結するような脳細胞も発達しているとのこと。つまり目から、耳から取り込んだ情報を無駄なく指の動きに変換できる脳を持つのがピアニストのようです。その脳は、幼いうちから訓練することによって発達するものもありますが、大人になってからでも発達するものもあり、脳の訓練には大変良さそうです。

子供にとって一番大切な学習道具は”眼”20160809

アメリカの眼科学会が小児の眼の健康を守るためのヒントを紹介しました。新学期を前に子供の学習用具をそろえようとする保護者に対して向けたもので、ズバリ「子供にとって一番大切な学習道具は眼」教室で黒板の文字が見えなかったり、運動場でボールが見えなかったりするのは子供にとってストレスであり、つらいことだとして、4つのヒントを上げています。

1 乳幼児期に健康診断を受ける。視力の異常に早く気付けば治療のチャンスがある

2 家族歴を検査担当者に伝える。幼児期の異常は遺伝的要素を持つものもある。近視,遠視、乱視、斜視にはなるべく早く対処した方が良い。放置すると、視力や立体視に障害を残すかもしれない。

3 疾患の兆候に注意する。小児が眼精疲労を訴えたり頭痛を訴えるとき、眼を細めて物を見るときは眼疾患や視力低下の可能性がある。瞳孔が白またはグレー、片側の眼が外あるいは内による、両目の動きが同調しないなどの兆候がないか、保護者は注意深く観察する必要がある。

4 スポーツの際は眼の保護具を使用する。野球。ホッケー、バスケットなどでのけがは眼に深刻なダメージを残すことがある。

特に1,2は小学校に入るまでに対応をはじめないと治療に時間がかかってしまうことがあり、お子さんにも保護者にも負担がかかります。眼からの情報量は90%以上と言われていますから、特にいろいろな物事を吸収する小児期の視力は学習にとって大切ということになります。

手先の器用さの問題ではない20160730

数年前から老眼のせいで針に糸が通せなくなりました。そんな状態が何年か続き、不器用になったのかなと残念に思っていましたが、、、

面倒くさがらないで近用鏡をかけて糸を通すとあら不思議。一発で細い針穴に糸が通るではありませんか。視覚の重要性を身をもって実感いたしました。ヒトは情報の90%以上を視覚から得ているそうですから。その情報には運動調節のための情報が多く含まれています。つまり、距離感、立体感、平衡感覚、速度感、といった感覚を利用して運動の方向や動かす量などの微調整をしているわけです。もちろん物の輪郭をはっきりとらえる、すなわちピントがぴったり合うということが細かい作業では最重要ですね。

仕事柄、顕微鏡を使って、患者さんの目の上で異物を取り除くなどの作業することがあります。ピントが合っていればたやすいのですが、患者さんの顔がずれたり、顕微鏡がちょっとでも動いたりたりすると、もうできません。つまり器用さの問題ではないのです。

もし周りに不器用と思われるひとがいたら、正しい視力の矯正がされていないだけかもしれません。一度眼科で遠見、近見の視力検査を受けることを勧めてみてください。

遠近両用コンタクトレンズを試してみませんか20160426

使い捨てコンタクトレンズが世に出てから約30年、当時20代だったコンタクトユーザーは現在50代となり老視世代になりました。そこで各メーカーが力を入れているのが遠近両用コンタクトレンズです。近くの見づらさは40代から感じ始めますが、まだ遠近両用のありがたみを感じる方は少ないようです。しかし50代ともなると遠くと近くを一つのレンズで見るのは難しくなります。そのような方に遠近両用コンタクトを着けていただくと喜んでくださる方が多いのです。

今までコンタクトレンズを使ってきた方は、遠くが見づらくなってきたとおっしゃる方もいます。日常生活で不便がないよう少し弱めのレンズを使っていた方たちは近くが見えるので老眼の意識をあまりお持ちではありません。ですが言われるままに度数を強くすると遠くは見えるようになっても今度は近くが見づらくなり、大変不便です。そこで少し強めの遠近両用レンズを着けていただくと遠くも近くも見やすくなると思います。

2週間使えるソフトレンズを差し上げていろいろな場面で使っていただきます。検査室で見えると思ってもお仕事内容によって見えたい距離が違ったら最適な度数が変わります。十分実生活で試していただき、改善したい点をお聞きして再度度数を変えたレンズで試していただきます。2,3回試すと最適なレンズが見つかる場合が多いです。今までコンタクトレンズを使ったことがない方でもお試しいただけます。

なお、今までコンタクトレンズを使ったことのない、遠視のある方は、遠近両用でない遠視用のレンズを着けることで遠くも近くも見やすくなる方もいます。

見え方に不自由さを感じてきた50代の皆様、遠近両用コンタクトレンズを試してみませんか。

新生活をコンタクトレンズで20160314

今週は中学、高校、大学と卒業式のところが多いと思います。新生活に向けてコンタクトレンズを初めて使ってみようという人も多いのではないでしょうか。準備に何かと忙しいですから4月になってからというかたもいると思いますが、初めてコンタクトレンズを使う場合は、ならし期間が必要ですので、春休みに入ってすぐがお勧めです。

コンタクトレンズを初めてつける日は、調子が良くても4時間以内、痛みや異物感が出てくるようならもっと早めにはずさなくてはなりません。2日目は6時間、3日目は8時間、4日目は10時間、と2時間ずつ時間を延ばしてみます。この時無理は禁物。つらければすぐはずします。1週間後の定期検診も春休み中ならきちんと受診できるはず。レンズのはめはずしも慣れるまで時間がかかりますから、休み中に練習しておけば、4月から、朝さっとレンズを付けて出発できるようになります。

春休み中に準備して、4月からコンタクトレンズで新生活、スポーツやおしゃれの幅が広がります。

不同視弱視20160113

左右の眼の屈折度が大きく違って、特に片目が強い遠視や乱視が幼児期からあると、もう片方の目が裸眼でよく見える場合は視力が発達しないまま成長してしまうことがあります。視力とは目から入った情報が脳で処理されて初めて出るものですが、眼から情報が入らないと情報を受け取り処理する脳の部分が使われず発達しません。

弱い遠視や乱視は水晶体の調整によりピントを合わせることができます。近視は裸眼でも近距離ならピントが合いますから情報が脳に伝わります。ところが、水晶体での調節範囲を超えた遠視や乱視は裸眼ではどこにもピントを合わせることができませんので、メガネなどで矯正しないと目からの情報が脳に伝わりません。両眼が同程度なら幼児期に親が気付いて矯正しますが、片眼だけ見えない場合は気づかれずに放置されて学校に入って視力検査で気づかれたとしても、眼科を受診しなかったり、受診しても治療がけっこう大変で続かなかったりということがあります。そのまま大人になると、矯正しても視力が1.0以上にならない 弱視 という状態になります。左右の目の見え方に差があることが原因の弱視ですから不同視弱視と言います。

先日いらっしゃった患者さんは、長らく裸眼で過ごされていましたが、距離感がつかみにくいとのことで相談にいらっしゃいました。検査をすると不同視で、矯正して視力が出るか心配でしたが、不同視はコンタクトレンズを片眼だけつけることができるのでメガネより使いやすく、さっそくテスト装用してみました。小学生のころはメガネを使っていたとのことで、幸い視力が出ました。立体視は少し慣れと訓練が必要かもしれませんが、両眼が同じように見えるという状態に慣れてくれば期待できます。

視力の発達は6歳までにほぼ終わり、12歳までは緩やかに続くと言われていますので、それまでにきちんと矯正してあげたいものです。13歳まで矯正されていないとそこから視力の発達はかなり難しいのです。3歳児検診に視力検査がある理由です。

ネットでコンタクト20150826

最近眼科を受診せずにネットでコンタクトを購入する方多いですね。確かに眼科に行くのは面倒だしレンズは必需品だからすぐほしいし、わからないでもないのですが。

コンタクトレンズを買うのに眼科に行かなければならない理由

①自覚症状がなくても目に異常が起きている場合がある。気になることがなくて定期検診にいらっしゃる患者さんの内、2割~3割の方に何かしらの異常が見つかります。ちょっとでも気になることがある方の場合はほぼ100%異常が見つかります。コンタクトレンズは何十年も使い続けるものなので、ちょっとの異常が積み重なって目に負担をかけていきますので、気になることがあればコンタクトの使用を中止して眼科を受診してください。

②使い方を間違っている場合がある。以前ブログに書きましたが、ケア用品の使い方を間違える。コンタクトレンズの左右を間違えたまま使っていることもあります。短時間でもつけたまま寝てしまうこともできません。受診すると指摘されることがあります。

③見づらくて度数を変えたいのに自己判断で変えると余計見づらいばかりか、眼に悪影響を与えることもある。お子さんはともかく、大人が近視の度数がどんどん進んでいくということはあまりありません。近視の度数を上げると遠くは見やすくなることが多いですが、疲れやすくなります。すると時間がたつと以前より見づらくなることもあります。それでさらに度数を上げると頭痛肩こりの原因になることも。また、乱視用や遠近両用は度数だけ変えればよいわけではないので、必ず眼科で試験装用してから購入しましょう。先日、遠近両用が見づらくなり、自己判断で度数を変えてネットで購入したとおっしゃる方がいました。しかし全く見えなかったそうで、レンズ代を無駄にしてしまったようです。遠近両用は、プロでも「このレンズはあなたに絶対合います」とは言えません。「このレンズがあなたに合いそうですから試してみてください」と言います。眼科では使い捨てレンズはお試し用レンズで納得いくまで試せますので、納得いったものにお金を払ってくださいね。

初めての老眼20150527

人が最初に老化に気づくのは眼から、とも言われています。

父の近視と母の遠視がうまくミックスされて正視に生まれついた私は、40歳までは見え方に困ることは全くありませんでした。患者さんで視力表の1番上が見えなくて恥ずかしいとおっしゃる方がよくおられますが、視力表の1番下が見えるのはもっと少数派で、これも恥ずかしいものです。高校大学の視力検査では、1番下がなんとなくわかりそうでも、『わかりません』と答えていました。

さて、老眼の最初の症状とはどんなものでしょうか。細かい文字が見づらくなる?それは老眼が明らかになったときの状態です。それまでよく見えていた私が41歳になって、最初に気づいたのは、「遠くが見づらい」でした。それまで2.0近くあった視力が1.0くらいに下がったのです。老眼とは、眼の調節機能の低下です。軽い乱視があった私は、若いころは十分な調節機能により遠くまで見えていたものが、老化で調節が働かなくなりぶれて見えるようになりました。五線の楽譜が六線に見えて困るようになったので、メガネを作りました。多くの人は初めから1.0位の視力なので、このごく初期の老眼の症状に気づくことは少ないのでしょうね。

老眼の始まりを自覚しても、しばらくは本を読むのにもさほど困りません。少し離せば見えますので。非常に不愉快だったのは食事の時です。こんなに不愉快なのに、食事時の不愉快を訴える患者さんがいないのが不思議でなりませんでした。料理を口に運ぶ時、食材のディテールが良く見えなくて、楽しさ半減します。本と違って、眼から離してしげしげ見つめるものでもないので困ります。みなさん気にされていないんでしょうか?仕事や作業じゃないので困らないのでしょうか。

で、先日、はじめて「料理が見えなくてつまらない」とおっしゃる方がいて、心の中で「そうでしょそうでしょ」と叫んでいました。独りよがりの思い込みではないということで、これからは、積極的にこの点も推していきましょう。今は見えないのにも慣れてきて、昔のテレビドラマで夜、鼻眼鏡にして帳簿つけているおばさん状態になってしまいました。それもまた味があるというもの。