ピアニストの脳を科学する20170428

ピアニストは芸術家であると同時に、すぐれた身体能力を持つアスリートであり、膨大な音符を記憶し瞬時に情報処理をする知性の持ち主であるとまえがきに書かれていますが、私も常々そう感じており、どうやってそんなことができるようになるのか知りたいと思っていました。

練習によって脳が変化するというのは予想がついたことですが、指を動かす筋肉で省エネが行われるのがプロの演奏家だということで、なるほどと思いました。疲れず素早く動かすには、無駄な動きや力があるとうまくいかないのです。

興味深いのは楽譜の初見演奏のメカニズムです。視覚情報を素早く指の運動に変化させなければなりません。このとき周辺視野を使って1度に1小節程度認識して記憶し、音のイメージを得ているのだそうです。また、音符を動きに変換する脳の部位があるということも驚きでした。

音楽家にとって一番大切な聴覚に対応する脳細胞は、一般人の2倍も多く、つまり音の情報を処理する能力が高いということで、音の違いを聞き分け表現することができることになります。耳からの情報を脳の視覚野の細胞をも使って処理しているという事実には驚きです。そして、音と指の動きが直結するような脳細胞も発達しているとのこと。つまり目から、耳から取り込んだ情報を無駄なく指の動きに変換できる脳を持つのがピアニストのようです。その脳は、幼いうちから訓練することによって発達するものもありますが、大人になってからでも発達するものもあり、脳の訓練には大変良さそうです。

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