不同視弱視20160113

左右の眼の屈折度が大きく違って、特に片目が強い遠視や乱視が幼児期からあると、もう片方の目が裸眼でよく見える場合は視力が発達しないまま成長してしまうことがあります。視力とは目から入った情報が脳で処理されて初めて出るものですが、眼から情報が入らないと情報を受け取り処理する脳の部分が使われず発達しません。

弱い遠視や乱視は水晶体の調整によりピントを合わせることができます。近視は裸眼でも近距離ならピントが合いますから情報が脳に伝わります。ところが、水晶体での調節範囲を超えた遠視や乱視は裸眼ではどこにもピントを合わせることができませんので、メガネなどで矯正しないと目からの情報が脳に伝わりません。両眼が同程度なら幼児期に親が気付いて矯正しますが、片眼だけ見えない場合は気づかれずに放置されて学校に入って視力検査で気づかれたとしても、眼科を受診しなかったり、受診しても治療がけっこう大変で続かなかったりということがあります。そのまま大人になると、矯正しても視力が1.0以上にならない 弱視 という状態になります。左右の目の見え方に差があることが原因の弱視ですから不同視弱視と言います。

先日いらっしゃった患者さんは、長らく裸眼で過ごされていましたが、距離感がつかみにくいとのことで相談にいらっしゃいました。検査をすると不同視で、矯正して視力が出るか心配でしたが、不同視はコンタクトレンズを片眼だけつけることができるのでメガネより使いやすく、さっそくテスト装用してみました。小学生のころはメガネを使っていたとのことで、幸い視力が出ました。立体視は少し慣れと訓練が必要かもしれませんが、両眼が同じように見えるという状態に慣れてくれば期待できます。

視力の発達は6歳までにほぼ終わり、12歳までは緩やかに続くと言われていますので、それまでにきちんと矯正してあげたいものです。13歳まで矯正されていないとそこから視力の発達はかなり難しいのです。3歳児検診に視力検査がある理由です。

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