「健康」カテゴリーアーカイブ

漢方的スローライフ10161212

ちくまプリマー新書の幸井俊高さんの本です。中高生向けに書かれていてよみやすいです。漢方医学(日本伝統医学と言い換えられる)では病気の症状を直すのではなく、病気の原因になっている体質を整えることで体調をよくすることを目標としている、西洋医学とのアプローチの違いがあるということをわかりやすく解説しています。
現代の慢性病を起こす体質を大きく5つに分類しています。
A.ため込む体質
B.流れがよくない体質
C.足りない体質
D.  バランスが悪い体質
E.心身が不安定な体質
何かの不調で漢方薬を処方されたとき、その薬を飲んで別の今までずっと気になっていた症状がすっとなくなることがあります。薬が自分の状態にぴったり合った時体調が整えられていきます。漢方薬は体全体を見ているので、体調に合った薬で、体全体が調子よくなっていきます。

漢方の考え方に基づいた、健康な生活を送るためのコツも述べられていて、現代人が陥りやすい体調不良を起こす原因とそれを避ける方法も書かれています。慢性的な心身不調を感じている方には参考になる本だと思います。

失われていく、我々の内なる細菌20161209

ヘリコバクター・ピロリ菌は、胃がんの原因になる細菌として有名になり、保菌者は除菌するという医療が一般的になってきつつありますが、著者のマーティンJブレイザーは、細菌学、感染症学に長く携わり、ピロリ菌研究第一人者です。

生物の進化はその体内に膨大な細菌を取り込むことで進んできたのではないか、我々とともにある細菌は、時として病気を引き起こすが、ある時は健康に寄与しているのではないか。それでなければ、共存しているはずがないのではないか。たとえばピロリ菌保有者の方が胃がんになりやすいが、非保有者の方が逆流性食道炎になりやすい、という事実がわかってきています。

腸内の細菌は宿主のために消化吸収を担っています。免疫に関する役割も果たしています。人間だけでは到底保持できない遺伝子を補っています。皮膚の常在菌が存在しなかったら、病気を引き起こす細菌に感染しやすくなるでしょう。

抗生物質は致死的な感染症から劇的に身を守ってくれます。しかし予防的な投与はどうなのか、著者はそのことについて漫然とした投与をすべきではないと言っています。それによって、長い歴史の中で人間と細菌が作り上げてきた共存関係が崩れつつあると言います。

生物多様性が人間の発明した薬によって失われつつあるということでしょうか。

 

 

 

 

 

 

子供にとって一番大切な学習道具は”眼”20160809

アメリカの眼科学会が小児の眼の健康を守るためのヒントを紹介しました。新学期を前に子供の学習用具をそろえようとする保護者に対して向けたもので、ズバリ「子供にとって一番大切な学習道具は眼」教室で黒板の文字が見えなかったり、運動場でボールが見えなかったりするのは子供にとってストレスであり、つらいことだとして、4つのヒントを上げています。

1 乳幼児期に健康診断を受ける。視力の異常に早く気付けば治療のチャンスがある

2 家族歴を検査担当者に伝える。幼児期の異常は遺伝的要素を持つものもある。近視,遠視、乱視、斜視にはなるべく早く対処した方が良い。放置すると、視力や立体視に障害を残すかもしれない。

3 疾患の兆候に注意する。小児が眼精疲労を訴えたり頭痛を訴えるとき、眼を細めて物を見るときは眼疾患や視力低下の可能性がある。瞳孔が白またはグレー、片側の眼が外あるいは内による、両目の動きが同調しないなどの兆候がないか、保護者は注意深く観察する必要がある。

4 スポーツの際は眼の保護具を使用する。野球。ホッケー、バスケットなどでのけがは眼に深刻なダメージを残すことがある。

特に1,2は小学校に入るまでに対応をはじめないと治療に時間がかかってしまうことがあり、お子さんにも保護者にも負担がかかります。眼からの情報量は90%以上と言われていますから、特にいろいろな物事を吸収する小児期の視力は学習にとって大切ということになります。

手先の器用さの問題ではない20160730

数年前から老眼のせいで針に糸が通せなくなりました。そんな状態が何年か続き、不器用になったのかなと残念に思っていましたが、、、

面倒くさがらないで近用鏡をかけて糸を通すとあら不思議。一発で細い針穴に糸が通るではありませんか。視覚の重要性を身をもって実感いたしました。ヒトは情報の90%以上を視覚から得ているそうですから。その情報には運動調節のための情報が多く含まれています。つまり、距離感、立体感、平衡感覚、速度感、といった感覚を利用して運動の方向や動かす量などの微調整をしているわけです。もちろん物の輪郭をはっきりとらえる、すなわちピントがぴったり合うということが細かい作業では最重要ですね。

仕事柄、顕微鏡を使って、患者さんの目の上で異物を取り除くなどの作業することがあります。ピントが合っていればたやすいのですが、患者さんの顔がずれたり、顕微鏡がちょっとでも動いたりたりすると、もうできません。つまり器用さの問題ではないのです。

もし周りに不器用と思われるひとがいたら、正しい視力の矯正がされていないだけかもしれません。一度眼科で遠見、近見の視力検査を受けることを勧めてみてください。

半夏瀉心湯ハンゲシャシントウ 漢方製剤ノート⑪20160316

効能;みぞおちがつかえ、時に悪心、嘔吐があり食欲不振で腹が鳴って軟便または下痢の傾向のあるものの次の諸症;急、慢性胃腸カタル、醗酵性下痢、消化不良、胃下垂、神経性胃炎、胃弱、二日酔い、げっぷ,胸やけ、口内炎、神経症

処方;半夏5.0g、黄芩、乾姜、甘草、大棗,人参 各2.5g、黄連1.0g

作用機序;胃粘膜防御作用、抗炎症作用、大腸水分吸収亢進作用、消化管運動抑制作用

副作用;間質性肺炎、偽アルドステロン症、ミオパチー、肝機能障害

注意;高齢者には減量など。妊産婦には効果が副作用を上回る場合投与。小児への安全性は確立していない。

証;中間証、虚証

注:本投稿は漢方製剤を勉強するため、最低限抑えるべき項目を列挙しています。実際に投与する場合、服用する場合は、製品の添付文書、注意書きにしたがってください。

Go wild野生の体を取り戻せ20160301

『脳を鍛えるには運動しかない』の著者の最新作です。なるほどと思うことがたくさん書かれていました。

進化は幸福を好む。幸福かどうかは生物として快調かどうかによるところが大きい。

農耕が始まり定住するようになりブドウ糖の塊を手にするようになってから様々な文明病があらわれた。狩猟時代と人間の仕組みは変わっていないのに、食料やライフスタイルが変わったためである。

人間は多様性に対応できるから地球上で繁栄できたが、また、多様な食べ物を摂取しなければいけない。

からだを動かすことで血流が良くなると脳の働きが良くなる。そして、トレイルランはいろいろな刺激があり対処すべきことが次々現れるのだ。そしてドーパミンなどの報酬系の神経伝達物質が出て人間を生き延びさせようようと働く。

睡眠不足はストレス状態と同じでコルチゾルが分泌され食欲が増え血糖値が上がる

マインドフルネス(今この瞬間に意識を集中させること)が狩猟採集民の心には現れる。それは瞑想の心持と共通点がある。

バイオフィリア(生物や自然への愛情)があることで人間は生き延びてくることができたのだろう。事実、土を触っただけでもストレスが減少するという事例も報告されている。トレイルランというスポーツが現在急速に発展してきているのは狩猟採集をしていた人間の持つ欲求を満たすからではないか。

人間が繁栄するために、保育と食糧供給に協力が欠かせなかった。利己的も利他的もどちらも必要である。オキシトシンは仲間意識に働く。

迷走神経は進化の過程で迷走した。脅威を感じ戦闘態勢になったあと、武装解除、全身各部にリラックスを命じる働きをする。呼吸で迷走神経を調節できる。合唱やヨガ、管楽器も有効である。体内環境を一定に保つホメオスタシスでは不十分で、今アロスタシスというモデルが考えられている。体内環境を外部環境に合わせて調節していく機能のことで、あらかじめ起こりうることを予測して調節する。ストレスを受けることによって成長できるのだ.

食生活や運動を狩猟時代のそれに近づけることで文明によって引き起こされたさまざまな不調から逃れることができる。どうすればよいかは人それぞれであるが、低炭水化物食と変化にとんだ運動はきっかけになるだろう。

砂糖の入った飲料と穀物とトランス脂肪酸は摂るべきではないと書かれています。甘い飲み物は好きじゃないのでやめられるし、マーガリンやショートニングは加工品に入っているので加工品を避ければよいけれど、炭水化物をやめるのは厳しいですね。ごはんや麺は食べなくても暮らせるけれど、大好きなパンを食べるのをやめたらお菓子を食べてしまいそうだ、マリーアントワネットになりそうだ。どうしましょう。

 

 

 

 

 

雪道で転びにくいのは20151227

雪道では歩くより走る方が転びにくい説。これは去年私が立てた説です。ただし普段走っていない人には難しいかも知れません。

まず、どういうときに転ぶでしょうか。冬道が滑ると思って注意しているときはまず転びません。滑るであろうことを予測していますから、滑っても体勢を立て直せます。転ぶのはほぼ100%、滑ることを忘れているとき、ここは滑らないと思っているとき。たとえば、何かに気を取られてよそ見をした時、地面が滑りそうもないように見えた時。特に、ビルの大理石の床のエントランスは、雪道から逃れた安堵から気を抜くのですが、靴に着いた雪が解けて床が濡れてひどく滑ります。

さて、数年前からトレランを始めた私は気付きました。雪道を走っても転ばないことを。理由を考えてみました。雪道を走るときは地面に集中します。トレランでも転びたくないので地面に集中する習慣がつきました。歩いているときは体に余裕がありますから、ながら歩行ができます、特に歩くことに集中しなくても勧めます。走るときは、余計なことを考える余裕がなく走ることに集中しているので転びにくいのでないでしょうか。

歩くときはかかと着地しますから、滑ると後ろに転ぶ可能性が高い。走るときかかと着地もありますが、私はつま先着地を心がけています。その方が足首、膝が痛くならないので。そしてつま先着地は前傾姿勢になりますので滑っても前に行くので体勢を立て直しやすい。

ということで、走るときのほうが転ぶ要素が減りますので転ばないという説立てました。まだ賛同者がいませんが。これを読んだ方、小走りでよいから試してみてください。

 

脳を鍛えるには運動しかない20151215

ジョンJレイティの著書です。(2008年1月アメリカ、2009年3月日本)もう8年近く前の本です。

運動すると脳細胞の発達を促進する物質がいろいろできるとのこと。
授業の前に30分のランニングをすると、成績がアップした高校の話や、うつやパニック障害などに運動が薬と同等の効果をもたらすとか。更年期障害や老化にまで運動が体と脳の両面から好ましい効果をもたらすということ。私たちが経験的に感じていることを、細胞レベル、分子レベルで証拠を上げてくれています。

つまり、体を動かすことと、思考することはどちらも脳の働きで、区別して考えるべきではないということでしょうか。分子レベルで見ると、脳の中では同じことが起こっているということです。そして脳により強い刺激を与え、成長を促すのは運動だということ。少しのストレスが成長には必要で、ストレスによって増える物質が脳細胞の成長を促す物質を増やすよう働きます。

体各部の運動神経、感覚神経に対応する部分が脳にありますが、大きなスペースを占めているのが手指と口,舌です。ペンフィールドのホムンクルスが有名です。では、手指と口を同時に動かせば脳は鍛えられるのではというのがわたしの考えです。管楽器はどうでしょう。特に木管楽器は両手の10本の指と唇、舌を同時に使います。おまけに視覚と聴覚、呼吸筋も使いますから、脳を鍛えるのにこれ以上ないと思っていますがいかが?

柴苓湯サイレイトウ 漢方製剤ノート⑩20151207

小柴胡湯と五苓散の合剤。

効能;吐き気、食欲不振、のどの渇き、排尿が少ないなどの次の諸症:水瀉性下痢、急性胃腸炎、暑気あたり、むくみ

処方;柴胡6.0,半夏5.0,沢瀉5.0、生姜4.0、黄芩3.0、大棗3.0、人参3.0、猪苓3.0、白朮3.0、茯苓3.0、甘草2.0、桂枝2.0、生姜1.0

作用機序;ナトリウムチャンネル阻害作用、抗炎症作用、DNA合成阻害作用

副作用;間質性肺炎、低カリウム血症、劇症肝炎、肝機能障害

注意;著しく体力の衰えている患者には慎重投与。

証;中間証

注:本投稿は漢方製剤を勉強するため、最低限抑えるべき項目を列挙しています。実際に投与する場合、服用する場合は、製品の添付文書、注意書きにしたがってください。

第23回日本山岳耐久レースハセツネカップ20151109

またしばらく更新が滞っていました。今回はハセツネカップに出場しました。9月のUTMFの半分の距離ですが、夜通し山を走るのは同じ、そしてエイドがなく、水、食料をしょって走らなければならないので荷物が重いつらさがあります。

3年連続出場していますが、走る速さは一向に速くなりません。ただ、要領がわかってきて最初の渋滞が短かったり、休憩を短くできたため、ゴールタイムは30分以上更新しました。この大会は制限時間が緩いので、あきらめずに止まらずに歩き続ければゴールできるのです。71.5kmを24時間以内でゴールすればよいので時速3kmです。もともと走るレースというより、登山のトレーニングとして重装備で長時間行動のトレーニングとして始まった歴史があります。

東京の奥多摩の山々を縦走しますので、東京の人は参加しやすいですし大変人気のレースです。大人の遠足です。そしてUTMFが国際的なレースなのに対して日本的なレースだと思います。もう、老若男女出場しています。15回完走すれば優先エントリーできますし20回完走すれば永久招待選手です。

今年は開催が例年より遅くなり、寒さに悩まされることになりました。動いていればいいのですが止まって休むと汗が冷えて寒くなるので、いきおい休憩が短くなりその分早く進めたかも。上着を着て走ると暑くて汗をかきいやなのですが、走っていても風が吹いて寒さを感じた時に早めに上着を着ました。水分を取る量は少なくて済みました。

食べ物はカロリーの高いお菓子やおにぎり、携帯用補給食、ゼリー飲料などを用意しましたが、結構余ったので、もう一工夫、食べやすい物だけを厳選すべきでした。パサパサ食べにくかったり、パッケージが開けにくかったりするものは避けた方が良かったと思います。まだまだ工夫の余地があります。長距離トレランは走力だけで決まらないのが面白いところです。