味と香りの話20150711

味と香り、味覚と嗅覚について、分子生理学の立場から解説した本を読みました。著者は、栗原堅三先生、薬学部在籍時代に薬剤学の教授でした。薬学部時代の研究エピソードなども書かれていてそちらも楽しめましたが、味と香りという身近なテーマでも生物にはいろいろな仕組みが備わっていて、でもまだよく分かっていない面もあるとのこと。20年近く前に書かれたものなので、その後明らかになったこともあるかもしれませんが。

甘みとうまみには、受容体があり、そこに結合できる分子だけが甘みとうまみを持ちます。割と限られた数の物質しかありません。塩味と酸味は、Na+,Cl とHを感知すればよいので、特別な受容体ではなく、イオンチャンネルのようなものから成り立っているでしょう。苦みを与える物質は数限りなくあります。それは疎水性の分子で、受容体を介さなくても直接細胞膜と結合できる分子だそうです。細胞膜に影響を与えられる分子、すなわち生体に影響を与える分子ということは薬がそうですね。毒もそう。良薬口に苦しと言いますし、ある研究者は薬の原料になりそうなものを世界中で探すとき,噛んでみて苦いもの、というのを一つの基準にしているとか。

においを持つ分子も、苦み分子と共通で、疎水性で直接細胞膜と結合できるものだそうです。におい分子の受容体もありますが、特異的なものではなくいくつものにおい分子と結合できる、しかしその細胞膜を構成する成分の違いによって、におい分子に対する感受性が変わってくる。そういう方法で、数限りない種類のにおい分子を区別することができるそうです。

と文字で書いてもさっぱり??だと思いますので興味のある方は本をよんでみてください。ちなみに辛味と渋味は味覚ではなく痛覚だそうですよ。

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