サピエンス全史20170225

上下巻のボリュームある本です。地球上にいくつか生まれた人類の内なぜホモサピエンス1種のみが生き残り繁栄したのか。3つの革命がサピエンスの歴史で大きな変化をもたらしたとしています。認知革命、農業革命、科学革命。現実に存在しないものを他者とあるいは集団で信じることができるのはサピエンスだけ。宗教然り、国家然り、貨幣然り。そして認識を共有して大きな力を出せるので他の人類種を凌駕できた。これが認知革命。農業革命は、自然に人工的に手を加え食料を得るようになったこと。食料が増え、サピエンスの数を増やすことになった。しかし、狩猟採集時代はいろんなものを食料にしてきたのに、農業によりある特定の作物、家畜だけを育てるようになり、いわばサピエンスはそれらの動植物の奴隷になったと言えるのではないか。食料のバラエティが減って栄養バランスが崩れたり、育てている作物が被害にあうと飢餓の恐れも増えたのではないか。第一、狩猟時代より労働量が増えたのではないか。はたして農業革命以前よりサピエンスは幸せになったのだろうか、と疑問を投げかけています。科学革命以前は、支配者は何でも知っていて、将来も今も大きく変わることはないという認識だった。そうではなくて、サピエンスにはまだ知られていないことだらけなのだ、知ることによってかわるのだという認識を持つことで急速に技術を発展させることができるようになったのが科学革命の本質なのだと唱えています。

目からうろこのとらえ方です。サピエンスは発展を遂げてきましたが、実際以前より幸福になっているのかという問いに対して、幸福の感じ方にはホルモン受容体に関する限界があるので、個人の幸福度がどんどんあがっていくことはないという、生化学に基づいた結論を述べ、何を望んだらいいのかを考える時ではないかと締めくくっています。

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