「生化学、薬学」カテゴリーアーカイブ

芍薬甘草湯シャクヤクカンゾウトウ  漢方製剤ノート①20150729

日本薬局方収載の漢方製剤は24処方です。一つずつ勉強します。ツムラの添付文書と、漢方スクエアを参考にします。処方はなるべく薬局方に則ります。

芍薬甘草湯は、マラソンで足がつったときに使うなど、スポーツする人が使う機会が多いようです。筋弛緩作用があります。

効能;急激におこる筋肉のけいれんを伴う疼痛、筋肉、関節痛、胃痛、腹痛。

処方;芍薬6.0、甘草6.0

作用機序;ノルアドレナリン神経系活性化作用、プロスタグランジンを抑制する

副作用;主に甘草による、偽アルドステロン症、低カリウム血症

注意;高齢者には減量して投与

証;証に関係なく使用できる。

注:本投稿は漢方製剤を勉強するため、最低限抑えるべき項目を列挙しています。実際に投与する場合、服用する場合は、製品の添付文書、注意書きにしたがってください。

味と香りの話20150711

味と香り、味覚と嗅覚について、分子生理学の立場から解説した本を読みました。著者は、栗原堅三先生、薬学部在籍時代に薬剤学の教授でした。薬学部時代の研究エピソードなども書かれていてそちらも楽しめましたが、味と香りという身近なテーマでも生物にはいろいろな仕組みが備わっていて、でもまだよく分かっていない面もあるとのこと。20年近く前に書かれたものなので、その後明らかになったこともあるかもしれませんが。

甘みとうまみには、受容体があり、そこに結合できる分子だけが甘みとうまみを持ちます。割と限られた数の物質しかありません。塩味と酸味は、Na+,Cl とHを感知すればよいので、特別な受容体ではなく、イオンチャンネルのようなものから成り立っているでしょう。苦みを与える物質は数限りなくあります。それは疎水性の分子で、受容体を介さなくても直接細胞膜と結合できる分子だそうです。細胞膜に影響を与えられる分子、すなわち生体に影響を与える分子ということは薬がそうですね。毒もそう。良薬口に苦しと言いますし、ある研究者は薬の原料になりそうなものを世界中で探すとき,噛んでみて苦いもの、というのを一つの基準にしているとか。

においを持つ分子も、苦み分子と共通で、疎水性で直接細胞膜と結合できるものだそうです。におい分子の受容体もありますが、特異的なものではなくいくつものにおい分子と結合できる、しかしその細胞膜を構成する成分の違いによって、におい分子に対する感受性が変わってくる。そういう方法で、数限りない種類のにおい分子を区別することができるそうです。

と文字で書いてもさっぱり??だと思いますので興味のある方は本をよんでみてください。ちなみに辛味と渋味は味覚ではなく痛覚だそうですよ。